私は通信制高校出身です。中高一貫校から転入した口です。
通信制高校に入ることが決まったとき、私も思いました。通信制高校に入ったら人生終わりだと。
しかし今では、通信制高校に感謝してもしきれないでいます。間違いなく、通信制高校が私の人生を切り開いてくれたからです。
目次
通信制高校に入ることになった経緯
私は元々、私立の中高一貫校に通っていました。
ところが中学2年生のとき、精神疾患を発症。学校に通いたくても通えない状態になりました。
高校にはエスカレーター式で上がれましたが、不登校のため出席日数が足りず、高校1年生で留年に。
留年を言い渡された私に与えられた選択肢は3つでした。
- 学校を辞めて高認を受ける
- 同じ学校で1年生をやり直す
- 通信制高校に転入する
その中で選んだのが「通信制高校に転入する」でした。
体調があまりにも悪く、高認を受けるのも同じ学校で1年生をやり直すのも、とても可能には思えなかったためです。
通信制高校に入ることが決まったときの心境
通信制高校に転入することを決めたのは私自身です。それでも、たくさんの葛藤がありました。
- 中学受験をしてまで入った学校を辞めるなんて……
- 親には無駄金を払わせてしまったな……
- みんなが普通にできることをなぜ私はできないのだろう?
- 人生終わりだ、お先真っ暗だ……
ネガティブな気持ちしか湧きませんでした。
2008年の時点では、通信制高校に良いイメージを持っている人はほとんどいませんでした。私も例外ではなく、「通信制高校は勉強ができない人・社会不適合者・怠惰な人が行くところ」だと思っていました。
難関大学を目指すのが普通な世界にいた私は、自ら決めたことだとしても、正反対のような世界に入っていくことをなかなか受け入れられませんでした。
大学進学もできず、就職もできず、ただ死を待つしかないのだろうと本気で思いました。
通信制高校に入ってよかったこと
死んだ魚の目をしながら通信制高校生として過ごしました。しかしいざ卒業してみると、通信制高校に入ってよかったと思うことがたくさんありました。
- 高卒資格をもらえたこと
- 高卒資格をもらえたことにより、憧れの歯科衛生士学校に入れたこと
- 高卒資格をもらえたことにより、憧れの歯科衛生士になれたこと
- 高卒資格をもらえたことにより、憧れの大学病院に就職できたこと
私は通信制高校に入る前から、歯科衛生士になりたいと思っていました。
歯科衛生士になるためには歯科衛生士養成の大学や短大、専門学校に入らなければなりません。それらの学校に入るためには「高卒資格」が必要です。
もちろん「高認合格の実績」でも可能です。しかし、常に体調が悪く机に向かえない当時の私には、高認を受けることさえ難しいものでした(国立大学の受験も、高2の夏前には諦めています)。
それが通信制高校では、週2日・1日1~2時間のスクーリングと、中学校レベルの内容のテストを受けるだけで高卒の資格をもらえるのです。どの進学校出身の人とも変わらない高卒資格を、です。
高卒資格を手に入れた私は、歯科衛生士の短大にAO入試で合格しました。「国立大学を受けてみたかった」というのは大人になった今でも思うことですが、当時の私には、AO入試を受けることすら「大したものだ!」と言ってあげたくなるようなことでした。
歯科衛生士の短大に進んだ私は、人生で最も勉強をがんばり、最も遊ぶことを楽しみました。
中学2年生から悩まされ続けていた体調も、みるみる善くなっていきました。「ここでしくじってはいけない」と常に思っていたので、おそらくアドレナリンがドバドバと出ていたのでしょう。
3年間の短大生活を終え、国家試験に合格し、大学病院に就職。歯科衛生士として大学病院に勤めることは、高校時代からの夢でした。
私が夢を叶えられたのは、高卒資格を取ったおかげです。高卒資格を取らせてくれた、通信制高校のおかげです。
通信制高校に入って残念だったこと
通信制高校に入って残念だったことは、特にありません。入る前は人生終わりだの、お先真っ暗だの言っていたのに。
しいて言えば、体育祭や文化祭などのイベントがなかったことでしょうか。最近はそのようなイベントのある学校も増えてきているのかなと思いますが。
イベントがあっても体調的に参加できなかったので、個人的にはなくても何も問題はありませんでした。
通信制高校に入ったら人生が始まった
中高一貫校の高校で留年を言い渡されたとき、「通信制高校に転入する」を選んで本当によかったと思います。
学校を辞めて高認を受けようとしても、机に向かう力がないので、受けられずじまいだったかもしれません。同じ学校に籍を置き続けても、状態は変わらず留年を繰り返し、放校になっていたかもしれません。
最終学歴は中卒となり、病気が善くなるきっかけもなく、それこそ人生詰んでいたような気がします。
通信制高校を卒業したことで、やっと「普通」の人たちと同じ位置に立つことができました。今は暗黒時代を埋めるかのように、やりたいことやできそうなことを、片っ端からやっている状況です。良い意味で「普通」ではありません。
通信制高校は確実に、私の人生を切り開いてくれました。人生終わりなんてことは、全くもってありませんでした。